田坂塾大学講義

第12講義室

人を育てる、己を育てる

特別講話 第14講のエッセンスを学ぶ

「人を育てる」。それは、我々の人生における大きな課題。

先輩として後輩を、上司として部下を、経営者として社員を、
教師として生徒を、親として子供を育てる。

その課題に直面したとき、我々が理解しておくべきことがある。

それは、「人を育てる」という営みに忍び込む、三つの落し穴。

一つは、相手を客観的な対象として見てしまう「対象化」。
一つは、相手を自分の望む方向に変えようとする「操作主義」。
一つは、相手の成長を目標達成の手段と考えてしまう「手段化」。

職場で、会社で、家庭で、「教えても育たない」と悩むとき、
多くの場合、我々は、この三つの落し穴に陥っている。

では、この落し穴に陥らないためには、どうすれば良いのか。

そのためには、まず、一つの覚悟を定めること。

「人を育てる」とは、「己を育てる」こと。

その覚悟を定めたとき、相手との間に
「一体感」や「共感」が生まれ、「信頼」が生まれ、
「成長」そのものが素晴らしい目標であるとの意識が生まれてくる。

そして、その覚悟を定めたならば、我々が、為すべきことは三つ。

一つは、「成長の場」を創ること
一つは、「成長の目標」を見せること
一つは、「成長の方法」を伝えること

その三つを、心を込め、祈りを込めて行うならば、
人は、誰もが、自らの中にある生命力によって、成長していく。

この第14講においては、その「成長支援」の方法を
具体的で実践的な「こころの技法」として語る。

[ 特別講話 第14講 講話資料より ]

  1. (1)挫折さえも成功体験にする心の力 

  2. (2)「地位」とは仕事の報酬か

  3. (3)部下の成長を支える条件

  4. (4)いかなる「言葉」を部下に語るべきか

  5. (5)困難に直面する社員に語りかけるべき言葉

  6. (6)上手な「転び方」

    出典 『風の便り』特選 第28便

  7. ■ 特別講話CD 第14講『人を育てる、己を育てる』

田坂塾 塾長講話 第14講 

収録内容

「特別講話 第14講」は、

人を育てる、己を育てる

という演題で話をします。

「人を育てる」

それは、どの時代においても
家庭や学校、職場や地域、社会や国家にとって
極めて大切なテーマです。

しかし、この「人を育てる」という言葉は、
大切な言葉でありながら、
油断をすれば、
無意識に「上から目線」の言葉になってしまい、
ときに、
密やかな「操作主義」が忍び込んでくる言葉でもあります。

では、この過ちに流されないために、どうすればよいか。

1990年から10年間、
我が国の大手シンクタンクにおいて
部長、所長、取締役として
戦略組織のリーダーを務め、
部下として預かる仲間の成長を支えなければと思い、
悪戦苦闘する10年を過ごしました。

しかし、
その10年を終えて、気がついたことがあります。

それは、

部下の成長を支えようと悪戦苦闘した自分が
実は、最も成長させて頂いた

その真実でした。

そして、この逆説的な真実を、
かつて、臨床心理学者の河合隼雄氏は、
子供の教育で苦労をしていると嘆く両親に対して、
一つの慈愛に満ちた言葉で、語りかけています。

「いったい、どちらが教えられているのか・・・」

まさに、それが真実。

「人を育てる」

そのための最も深い技法を学ぶためには、
まず、「教育」や「成長」ということの根底にある
二つの真実に気がつくことです。

第一の真実は、

誰かの成長を支えるためには、何よりも
自分が成長しなければならない

その真実です。

そして、第二の真実は、

誰かの成長を支えることができたとき、気がつけば
自分が成長できている

その真実です。

すなわち、

「人を育てる」という営みは
「己を育てる」という営みと
一対の鏡になっている

我々は、そのことに気がつくべきでしょう。

では、その一対の鏡を見つめながら
家庭や学校、職場や地域において、
子供や生徒、部下や若い世代の成長を支え、
自分自身が成長していくためには、
どうすればよいのか。

そのためには、
どのような「心の技法」が求められるのか。

この第14講においては、そのことを

人を育てる、己を育てる

と題し、具体的な技法を語ります。

この講話にさらに興味のある方は、「田坂塾」のサイトへ